ドクターQ&A

Q&A 当会では医療経営に関するドクターの疑問にお答えしています。
こちらではその一部をご紹介しています。
回答日 2020年03月01日

「持分なし医療法人」への移行についてお教えください。

厚生労働省が3年間限定(平成29年10月1日から平成32年9月30日まで)の認定制度で、「持分なし医療法人」への移行を推進していますが、自院で検討するにあたって、以下の3点についてお教えください。

①持分ありの医療法人を持分なしの医療法人へと移行するメリット・デメリットについて
②持分ありの医療法人を持分なしの医療法人へと移行する際のフロー、関係する税制面、注意するポイントについて
③持分なしの医療法人をM&Aで売却した場合、買い手側が支払う売買代金は誰が受け取るのかについて

持分ありの医療法人の場合、持分の払い戻しや相続が発生した際に、その対価の支払いによって医療法人の経営の存続が難しくなってしまう可能性があります。その対策として厚生労働省は、持分なしへの移行を推進しています。

持分ありの医療法人を持分なしの医療法人へと移行するメリット・デメリットについて
<メリット>
・持分ありの場合、経営陣以外の社員がいて退社をする際に持分の払戻金額が多大になり、最悪の場合にその負担で医療機関経営が危うくなってしまいますが、持分なしにすることでそのリスクがなくなります。
・持分ありの場合、理事長が大半の持分を有していると事業承継・相続時の課税金額が多大になってしまい円滑な承継が難しくなりますが、持分なしにすることで解消できます。
<デメリット>
・既存の持分保有者は財産権を失います。
医療法人は利益を配当できないため、経営が良好な場合は利益剰余金が蓄積しており、財産は多額になっている可能性が高いです。
*財産権とは:退社時の持分払戻権、解散時の残余財産分配請求権
・医療法人に対して贈与税が課税されます。(持分を放棄することで、財産権が医療法人に実質的に贈与されるため) 
・一旦移行すると、持分ありには戻れません。


持分ありの医療法人を持分なしの医療法人へと移行する際のフロー、関係する税制面、注意するポイントについて

厚生労働省は、「持分なし医療法人」への移行を推進するために、税制優遇措置等を実施しています。
 利用にあたって、フロー、注意点が以下に掲載されています。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000180870.pdf
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/igyou/igyoukeiei/ikoutebiki.html


持分なしの医療法人をM&Aで売却した場合、買い手側が支払う売買代金は誰が受け取るのかについて

ケースバイケースだと思いますが、理事長を含む持分保有者が役員退職金という形で受け取る場合が多いのではないでしょうか?
退職金の支給額のみでは金額が折り合わない場合は、できるだけ課税額を抑えるために継続的に報酬を支払うことで対応することが多いように思われます。

なお個別案件の税務につきましては、税理士や管轄の税務署にご確認ください。

 

※回答は、2020年3月1日現在の内容となります。