ドクターQ&A

Q&A 当会では医療経営に関するドクターの疑問にお答えしています。
こちらではその一部をご紹介しています。
回答日 2017年11月01日

「介護医療院」への転換に向けた介護療養型医療施設の今後について

介護療養型医療施設の今後の方向性について、介護保険法の改正案で示される「介護医療院」への転換が促されています。現在は2024年3月末まで経過期間があるとはいえ、それまでにいずれかの新たな施設類型への移行が前提とされています。医療必要度の高い入院患者を今後確保していくことは難しく、比較的リハビリや在宅復帰支援の機能に重きを置いているケースでは、これからどのような選択を行うべきでしょうか。ご教示をお願いします。(院長58歳)

介護療養型医療施設から介護医療院へ移行する際の要諦は 「医療必要度の高い入院患者にもリハビリや在宅復帰支援を欠かさないこと」

介護療養病棟から介護医療院への移行は、来年度の診療報酬・介護報酬の同時改定のトピックス的事項になると考えます。療養病床のうち、①医療保険適応型療養病床を25対1看護体制で運営される病棟のうち、特に医療区分に基づく患者割合や看護職員数を満たせない病棟、②介護保険適応型療養病床(介護療養病床)――の2つは存在がクローズアップされ、今後の方向性が明らかにされています。介護医療院の機能は、①医療機能を内包した施設系サービス2種、②医療を外から提供する居住スペースと医療機関の併設(2種のうち1種は現行の特定施設入居者生活介護)――の2つに分類されます。またこのうち②の体制は、地域包括ケア体制や「自宅の病床化」を見据えると大きなポイントになると考えます。なお、介護医療院に求められる機能には①「日常的な医学管理」や「看取り・ターミナルケア」等の医療機能、②「生活施設」としての機能――の2面性があることに留意しなければなりません。

まず、抑えるべき点は「医療必要度の高い入院患者もリハビリや在宅復帰支援を欠かさないこと」です。これらの患者については医師の診療・医学管理がベースになりますが、①退院後の生活を見据えて、基本的動作能力や応用動作能力の維持・向上を目的としたリハビリテーションを継続して実施すること、②患者や家族の希望に耳を傾けながら、さまざまな専門家の見地から助言・調整していく在宅復帰支援機能――の2点は付加価値として医療保険から費用が給付されます。一方で、医療必要度はそれほど高くはないがリハビリテーションや在宅復帰支援を提供する患者については、前述の患者より医療サービス・医学管理のニーズが少なくなるわけで、一定段階以後は介護保険から費用を給付しようとしています。上記を踏まえると、以下の2点が今後の方向性を決めていく上でのポイントになると考えます。

A.入院機能(病床)を維持したいとの見地に立てば、①少なくとも療養病棟入院基本料2の施設基準を満たすこと、②医療区分2または3の患者が5割以上、③看護体制25対1等、④入院患者の状態を検証したうえで、可能であれば療養病棟入院基本料1の施設基準届出を目指すこと、⑤医療区分2または3の患者が8割以上、⑥看護体制20対1――等。
その際、在宅復帰率が50%以上かつ病床回転率が10%以上であれば、在宅復帰機能強化加算の届出を考慮します。なお、在宅復帰率の算出に当たっては「自院の他病棟から当該病棟に転棟した患者については、当該病棟に1カ月以上入院していた患者に限る」とされています。病床回転率は、「一般病棟等から入院し、自宅等に退院した年間の患者数」を「当該病棟の1日平均入院患者数」で除したものです。
また、療養病棟入院基本料1の施設基準を届け出した病院で、当該病棟に退院支援専従スタッフを2病棟に1名以上配置して、他の要件も満たすことができれば「退院支援加算1」の施設基準の届出が可能となります。

B.入院機能(病床運営)を縮小して、リハビリテーション提供機能や在宅支援サービスにシフト・特化したいというケースに対しては、冒頭で触れた介護医療院は最適になると考えます。特に「医療を外から提供する、居住スペースと医療機関の併設(2種のうち、1種は現行の特定施設入居者生活介護)」のうち、医療機関に併設できるタイプとして示されているのは、①医療区分1を中心として、長期の医療・介護が必要であり、②医療の必要性は多様だが、容体は比較的安定した者――が対象とされています。これまでの病室部分は患者の居住生活スペースへ転換でき、入居者への医療サービスは訪問診療等で評価されるからです。訪問診療等を提供するためオンコール体制や看取り体制をあらかじめ構築することが不可欠になります。また、これに合わせて各種の訪問サービスを展開できるようにすることが要諦です。

居住スペースは現行の特定施設入居者生活介護の場合「利用者30人までは1人、30人を超える場合は50人に1人」と看護職員の配置が定められていますが、医療機関併設型の場合、これに準じた体系になることは充分に考えられます。ついては、看護以外の訪問サービスが展開できるようあらかじめ検討されることをお勧めします。具体的には、①訪問リハビリテーション(基本的動作能力や応用的動作能力の維持)、②訪問薬剤管理指導(調剤薬局とジョイントしたサービス提供)、③訪問栄養指導――の3点になります。これらのサービスは、併設する居住・生活スペースの入居者に対するサービス提供だけでなく、自宅へ戻られた患者に対しても継続して提供していくことで、(スタッフ数に対する)患者数をより確保できることが見込めます。