ドクターQ&A

Q&A 当会では医療経営に関するドクターの疑問にお答えしています。
こちらではその一部をご紹介しています。
回答日 2016年05月01日

診療所運営のハードとソフト両面のアドバイスを。

当診療所は精神科クリニックを運営しています。高齢社会を迎え認知症高齢者が今後増加してゆくといわれています。医療費抑制のため精神科病院の入院は主に統合失調症、薬物中毒など急性期医療の必要な患者に絞られ、病床数も減少していくものと思われます。一方、認知症患者は入院から在宅へ移され、地域包括ケアのなかで医療と介護の提供を受けることになると思います。地域医療連携、在宅ケア、グループホームなど、ソフトとハード面でアドバイスをお願いします。(精神科クリニック院長46歳)

「ハード面」では患者収容先の確保と情報共有・電子的な連携の実施、「ソフト面」では認知症地域包括診療料の届出の有無が収益を左右する

今回の診療報酬改定は、内科をはじめとした一般診療部門と精神科や歯科をはじめとした専門診療部門との有機的連携をどのように進めていくかが大きなポイントとなりました。では、ご質問にある「ハード面・ソフト面」の二面性に分けてお伝えします。

【ハード面】
1.患者収容先の確保
精神疾患を有する患者は、他の疾患と比べても特に家族や地域の協力・支援が及ばないのが実情です。となれば、有料老人ホームやサ高住、さらにはグループホームをはじめとした居住系介護施設で行き先を確保するのは必然です。とはいえ、これらの施設を設けようとすると地域の方々の理解が大切です。開設前には充分すぎるほどの折衝・説明はもとより、開設後も居住者で自立できる(動ける)方は地域自治会等の催し(運動会や地域全体での清掃活動等)へ積極的に参加することで、「住民の1人」として内外にアピール(居住者にとっては自覚)していくよう促していくことが不可欠です。

2.他院との電子的な連携
精神疾患の患者であっても、循環器系や消化器系の疾患をもつ方が多いことを見据えることが不可欠です。特に、画像診断に当たってはCT画像等の遠隔診断を利用することで、専門医の診断からその後の迅速な対応が可能となります。今回の診療報酬改定では、「画像診断管理加算2」にかかる遠隔画像診断の要件が緩和されました。当該加算(遠隔画像診断)の届出をすることで、貴院でも専門的な画像診断が行え、提供するサービスの質の向上に貢献できます。

3.他院との情報共有
他院との連携を進めるに当たっては、届く情報を待つだけでなく、自ら積極的に参加して情報をキャッチすることが要諦です。ついては、
①患者の退院後の診療をスムーズかつ不安なく進めていくために、病院で実施される共同指導やカンファレンスへ積極的に参加する、
②退院後の訪問指導(特に訪問看護指導)をスムースに引き継ぐことを見据え、紹介元の担当看護師と共同で訪問指導を積極的に実施すること、
などがポイントとなります。

【ソフト面(運用面)】
1.施設基準
今回の改定では、認知症の患者に対する「地域包括診療料ならびに(再診料)地域包括診療加算」の要件が追加されています。ただし、これらの施設基準の届出に当たっては、患者や家族からの24時間連絡応需やかかりつけ薬局との情報共有体制が必要不可欠になります。現状と当該施設基準をチェックシートにまとめて、補わなければならない体制や運営面を確認してください。

2.訪問診療の体制
訪問診療を実施するに当たっては、他院と共同での夜間・休日連絡体制や患者個々での診療頻度の検証が必要です。また、患者の症状急変時における後方支援病院を複数確保する等、患者や家族の希望を聞きながら、再構築していくことが不可欠です。

3.スタッフ教育
随時相談に応じることができる体制は、患者や家族の安心感に直結しますので、「いつ(曜日や時間帯に区切ってでも)」「誰が」「どのようにして」相談に対応するのかを検討してください。
特に、連絡を受けるに当たっては医師だけでは負担が軽減されません。ついては、看護スタッフや事務スタッフも交え、院内全体で連絡を受ける(受けたスタッフはすぐに医師に報告する)仕組みや意識を徹底することが要諦です。
また、今回の診療報酬改定は「患者目線」がより強調されています。したがって、診療から診療報酬請求・一部負担金請求、金銭受領までの流れをフローチャート等を利用して見直し、患者や家族から質問された際の想定問答集を準備しておくことが大切になると思われます。