ドクターQ&A

Q&A 当会では医療経営に関するドクターの疑問にお答えしています。
こちらではその一部をご紹介しています。
回答日 2014年03月01日

贈与税の基本的な仕組みについて教えてほしい。

二〇一五年の相続税増税を控え、生前贈与も有効な対策の一つのようですが、贈与税の基本的な仕組みおよび相続時精算課税について、また現在、子供を受取人として毎月の保険料を支払っておりますが、このような場合の相続税・贈与税との関連についてわかりやすく説明願います。(診療所院長)

課税されるケースと課税されないケースの具体的検討が大切、暦年課税や相続時精算課税の利用も

(1)贈与税とは
贈与税は、個人から財産をもらった時にかかる税金です。医療法人から財産をもらった時などは贈与税は基本的に課税されませんが、所得税が課税されます。原則として個人間で財産をもらった場合が贈与税です。
また、自分が保険料を負担していない生命保険金を受け取った、あるいは債務の免除などにより利益を受けたなどの場合は、贈与を受けたとみなされて贈与税が課税されることになっています。
たとえば、親が保険料を負担していて満期になったら子供に満期保険金が給付されるというものを掛けていたとします。仮に、一〇年経って満期の保険金五〇〇万円が子供の口座に入金されたとします。このような場合には贈与税が課税されます。給付を受けた段階で五〇〇万円の贈与財産となります。
次に、子供が親を被保険者にして掛けていた保険が、親が亡くなったことで死亡保険金が子供に給付された場合ですが、これは相続財産ではありません。一時所得になります。
さらに、子供名義の保険を親が掛けていた場合、満期に子供の口座に入金された場合は、厳密にいいますと、保険料を掛けていた保険料が贈与となります。子供に収入がないのに、子供に代わって親がその保険料を負担していたということになりますので、毎月の保険料が贈与ということになります。一方、親からもらったおカネで子供が保険を掛けて、そのおカネが満期になって給付を受けたという場合は、子供の一時所得という所得税が課税されます。
保険料を誰が負担していたのか、誰が受け取ったのかで、相続税が課税されたり、所得税が課税されたり、といったようなケースがあります。
また、親が自分を被保険者として生命保険を掛けていて、それが自分が亡くなることで子供に保険金額が給付された場合は、みなし相続財産として相続税が課税されることになります。

(2)暦年課税とは
贈与税は一人の人が一月一日から一二月三一日までの一年間にもらった財産の合計額から、基礎控除額一一〇万を差し引いた残りの額に対して課税されます。したがって、一年間にもらった財産の合計額が一一〇万円以下であれば贈与税は課税されませんし、申告も不要です。
また、夫婦の間で居住用の不動産または居住用の不動産を取得するための金銭の贈与を受けて配偶者控除を受ける場合には、一一〇万円を超えても贈与税が課税されません。夫婦間で住んでいた居住用不動産の贈与を受けた場合には、評価額二一一〇万までは贈与税は課税されません。
ただし、正式に配偶者であったこと、婚姻期間が二〇年以上(連続期間ではなく通算期間二〇年以上)であることというのが条件になります(相続税法第二一条の六、相続税法施行令第四条の六)。かつ、同じ夫婦の間で一生に一回しかできません。たとえば一〇〇〇万円、一〇〇〇万円と二回に分割して贈与するということはできません。贈与するのであれば二〇年をすぎたらどこかで一回だけということになります。これが暦年課税ということです。
あるいは、父親から一〇〇万円もらい、同じ年に母親から一〇〇万円もらったといったような場合ですが、それぞれ一一〇万円以下であるから贈与税は不要かというと、そうではありません。父親からもらった一〇〇万円と母親からもらった一〇〇万円、合計二〇〇万円が贈与財産ということになりますから、二〇〇万円-一一〇万円=九〇万円に対して一〇%の九万円の贈与税が課税されます〈表参照〉。

(3)相続時精算課税制度とは
また、大きな金額を贈与できる制度に相続時精算課税制度があります。
相続時精算課税というのは、「私はこれを選びます」という選択手挙げ方式です。普通の暦年課税というのは何の手続きも必要ありませんが、相続時精算課税の場合は、私はこの制度を利用して贈与税の特例を受けますという制度です。相続時精算課税を選択した贈与者ごとに、その年の一月一日から一二月三一日までの一年間に、贈与を受けた財産の価額の合計金額から二五〇〇万円の特別控除額を控除した残額に対して贈与税が課税されます。
たとえば「贈与者ごとに」ですから、父親と母親を対象としているわけですが、父親からは暦年課税で普通に申告します。「母親から贈与を受ける財産についてはこの制度を選択します」となったら、母親からそれ以降贈与を受ける金額は全部、この二五〇〇万円のなかに含まれています。一年目、二年目、三年目、一〇年目と何回贈与しても、二五〇〇万円の間で贈与を受けることはできますが、二五〇〇万円を超えてしまったら超えた分はすべて贈与税額の速算表にある税率ではなくて、一律二〇%の贈与税が課税されます。しかも、これは相続の前倒しにすぎませんので、相続が発生した時には、相続財産にもう一度入れなければなりません。